猫の皮膚病の一つに”真菌”というものがあります。
“真菌”は猫同士で感染してしまう厄介な病気です。
隔離、治療、完治の見極めなど気を付けてあげないと悪化や長期化
してしまうリスクがあります。
真菌とは
真菌(皮膚糸状菌症)とはカビの一種で主に毛に感染します。
感染すると顔、耳、手足などから発症することが多く、
脱毛・ふけ・赤みがみられるようになります。
徐々に全身に広がるため早急に治療してあげる必要があります。
感染しやすいのは免疫力の弱い幼猫や高齢猫と長毛種です。
我が家の猫の感染経緯
我が家には2匹の猫がいます。
その内1匹は保護猫カフェから譲渡していただいた野良出身の猫です。
・先住猫のスコティッシュフォールド
・新入り猫のミックス(茶トラ)
この子たちに起きた異変とその対応についてご紹介します
全ての始まりは保護猫の譲渡から
先住猫は3歳でこれまでは食べ過ぎによる下痢があった程度で体調を
崩すことはほとんどありませんでした。
遊び相手にと思い保護猫カフェでトライアルをすることにしたのですが、
ここからが全ての始まりです。
トライアルを開始して3日目。
トライアル中の新入り猫の眉毛あたりの毛が薄いことに気がつきました。
元々だっけ?気が付かなかっただけ?と思いながら保護猫カフェの店主に報告したところ
病院に連れて行ってもらうことになりました。
そこで真菌の感染が確認されました。
おそらく元々持っていたのがトライアルのタイミングで症状として
現れたのではないかと思います。
新入り猫は抗真菌薬を投与し治療することになったのですが、
そのままトライアルは続行しました。
というのも、先住猫はすでに3歳で大人のため感染することは殆どないと
店主に言われたからです。
また、私も真菌に対する知識がなく、多くの保護猫を見てきたであろう保護猫カフェの店主が言うのだから間違いないと安易に信じてしまいました。
ここでトライアルを中止していれば…。
病状が回復するまでトライアルは延長され、ハゲていた部分が治ったため
店主と相談し正式譲渡ということになりました。
実はこの時、最終診断で病院には行っていませんでした。
先住猫に異変が!?
正式譲渡からしばらくして先住猫に異変が見られました。
左後ろ足の肉球周りの毛が黒くなっているのを発見しました。
よく見ると肉球の皮膚?も剥がれています。
・うんちを踏んだ?→臭いがないため違う
・何かの汚れ?→濡らした布巾で拭くも取れない
・痛みはあるのか?→様子を伺うが痛そうなそぶりは見られず走り回っている
これはなにかの病気か!?
まさかの誤診
近くの動物病院へ連れて行き患部を見てもらいました。
健康診断や予防接種で何度か訪れたことのある病院で、
先生も優しく信用している病院でした。
先生からは、「なんだろうね?うんちかな?」と言われ先生が
拭いてみると黒い汚れ?が少し取れたようでした。
汚れのようにも見えるが感染の可能性もあるため抗生物質の注射を打ってもらい
様子を見ることになりました。
正直いうと最初にうんちかな?と言われたとこに不信感が募り「うんちなら分かるわ!!」とも思っていましたがさすがに言えずそのまま帰宅しました。
抗生物質の注射から数日様子を見ましたが変化がなく別の病院でも診てもらうことにしました。
少し離れた大きめの動物病院が評判も良かったので連れて行くことに。
そこで検査をしてもらうと真菌の感染ということが発覚しました。
真菌の診断方法
真菌の診断には簡易的なものと毛の検査があります。
簡易的な方法は、ウッド灯という特殊な光を当てる方法です。
真菌がある場合は緑色に光るのが特徴です。
Amazonでも購入でき自宅で簡単に確認ができるので、
1つ購入しておくことをおすすめします。
私は下記のライトを購入しましたが、
しっかりと真菌が光っているのを確認できました。
治療報告
治療には内服と外用、環境対策の3つがある。
そのうち最も効果的なのは内服と言われています。
ただし、内服は肝臓に負担がかかるため年齢などを考慮し治療方法を
選定する必要があります。
我が家の猫はまだ若いこともあり内服で治療することにしました。
猫ちゃんに薬はどうやって飲ませるといい?
1日2回抗真菌薬を飲ませることに。
ただ、我が家の猫たちはどちらもうまく飲むことができず苦戦しました。
病院の先生にも聞きながら下記の方法を試しましたが猫によってできる・できないが
あるため試しながらできるだけ負担にならない方法を見つけてあげましょう
- エサに混ぜる(大きい場合は小さく砕いてから混ぜる)
- 口を開け喉の奥に入れてあげる
- 粉上にしペースト状のおやつと混ぜて上あごに擦り付ける
- 投薬用のおやつに包んであげる
我が家では、①と②の方法は一度口に入れてもすぐに吐き出してしまうため断念。
先住猫は③、新入り猫は④で投薬をすることになりました。
使用したおやつはこの2種類です。
投薬期間は数か月になることが多くおやつは多めに買っておいても問題ないと思います。
無くなって薬が飲ませられないなんてことになったら困りますからね。
また、普通のちゅ~るを使うのは健康面から考えるとあまりおすすめはできません。
粘度も固めなので薬を包むのに適しています。
嫌がる猫との辛い投薬期間
嫌がりながらもなんとか毎日薬を飲んでくれました。
すると!抗真菌薬を飲み始めて1~2週間で少しづつ変化が!!
黒い汚れのようなものが少なくなり肉球の剥がれが回復してきました。
その後も根気よく投薬を続け、だいたい1ヵ月半で症状は治りました。
最後の検査で真菌のやっかいさを知ることに
症状は完全に収まったように見えてきましたが、ここからもう一段階あります。
”完治”した!と確定診断をしてもらう必要があるのです。
しかも、多頭飼いの場合はすべての猫を同時に検査する必要があります。
真菌は猫同士で感染します。
そのため、1匹が治っても他の猫に感染していて再発ということが起きるからです。
この負のループにハマってしまうのが真菌のやっかいなところです。
検査内容
確定診断はライトではなく、毛を採取して検査してもらう必要があります。
1回の検査で出なくてもたまたまということもあるので、
間を空けて2回検査をすることで晴れて”完治”と診断されます。
検査結果は通常1~2週間で出ますが、
陰性の場合は判断に少し時間がかかる場合があります。
我が家の猫は3週間かかりました。
ちなみに、検査結果を待つ間も抗真菌薬は飲み続けます。
ほぼ完治している状態での投薬は腎臓にも負担となるため、
検査している間は、1週間飲み1週間は止めるというパルス法にすることで
負担を減らすことができます。
真菌は物などに付着し感染することも
真菌は、ものに付着したあともしばらく生き続けます。
付着した真菌が猫に触れると再度感染したり感染範囲が広くなってしまいます。
そのため、部屋中をきれいに除菌したりタオルなど猫に直接触れたものは
毎回洗うなどした方がよいです。
できればおもちゃも交換してあげるといいのですが、我が家でそこまではしていません。
真菌の除菌にはミラクリーンという除菌スプレーがおすすめです。
値段は高めですが、感染の拡大や再感染を防ぐには必要です。
また、スプレーだけでは部屋の隅々まで除菌することはできません。
そこでおすすめなのはオゾン除菌装置です。
オゾンという除菌効果のあるガスをお部屋に発生させることで、
全体の除菌をしてくれる優れものです。
イメージはバルサンです。
値段も手頃なものがあったのでこちらも購入し稼働させています。
真菌は人にも感染する
実は真菌は猫だけの病気ではなく、人間にも感染することがあります。
実はうちも、妻に感染してしまいました。
先住猫が感染して少しして、妻が足のかゆみを訴えていました。
夏場だったため蚊にでも刺されたのかとリンデロンを塗っていましたが一向に治らず。
気が付くと赤いリング状の発疹ができていました。
ネットで調べると真菌がうつってしまった人と全く同じ状態で、
病院から真菌と診断されました。
病院から処方された塗り薬をつけるとしばらく痒みが出て大変でしたが、
1週間程度で痒みも引き2ヵ月程度で発疹もおさまりました。
予防にはお風呂が効果的です。
真菌は熱に弱いため、熱めの湯船のしっかりと入ることで、
体についた真菌を取り除くことができます。
そもそも入浴は健康に非常に良いとされているので、
シャワーだけでなくお湯に浸かることをおすすめいたします。
まとめ
真菌の対処法で重要なのは、
- 1ヶ月以上の投薬が必要
- 真菌は猫同士や人間にもうつる
- 物にも付着ししばらくは残るため除菌が必要
- 多頭飼いの場合は隔離が理想
真菌で苦しんでいる猫ちゃんが少しでも早く治ってくれることを願っています。